オペラの略歴

オペラの歴史について。

 オペラの誕生はイタリアで、古代ギリシアの悲劇・西洋中世の典礼劇として生まれ、一番古いものでは1280年「ロビンとマリオンの劇」という作品があるが、オペラ作品としては現存していない。きちんと形ができたのはルネッサンス時代の古代ギリシアで、当時の文芸復興精神に誘われて作り出されたといわれる。この時代、貴族達による文化運動が盛んであったことがオペラ発展の基礎となった。特に大きく貢献したのはフィレンツェのメディチ家であった。最初に上演されたオペラは、ペーリ作曲、リヌッチーニ台本の「ダフネ」であるが、これも現存していない。現存している最古のオペラはこの2人による「エウリディーチェ」(1600年)である。この後、ローマ→ヴェネツィア→ローマ→ナポリと発展していくのである。この間にヴェネツィアに1637年に初めてオペラ劇場が創られている。そして、モンテヴェルディ、グルック、スカルラッティという作曲家が活躍しオペラの基礎を築いていくのである。日本では徳川家康が天下を制定した頃、イタリアではもう既にオペラが上演され、このような発展を遂げていたことになる。初めの頃のオペラは、歌手はただ立って音楽は長大なアリア(オペラの中での独唱曲)の連続でドラマ性に乏しく退屈なものが多かった。しかし、スカルラッティ以降の作曲家によってオペラ劇の進行を受け持つ叙唱(レチタティーヴォ)と音楽的な高揚を形づくるアリアとの分離を推し進めた。その後モーツアルト、ロッシーニ、べッリーニ、ヴェルディ、プッチーニという偉大な作曲家が現れこのオペラの発展に貢献してきたのである。

 このオペラという名称はギリシア語のオプス(OPUSU)から生まれた言葉であり「作品」という意味である。

                             饗場知昭