会社の重要な部門の仕事を任されている、
その実感がわいてきました

■ 仕事のポイント
縁の下の力持ち、やりたい仕事だけが仕事ではない
会社の中で、何かをつくっているわけでも、売っているわけでもない、組織全体に関する事務を扱うために設けられる部署、「総務」という仕事があります。
「人事」という仕事は、優秀な人材を確保し、会社の経営を安定させます。
正社員・契約社員・パートタイマー・派遣社員などの雇い方の違いによって、必要なときに必要な人員を確保していきます。
 
北川さんは希望の医療・福祉の会社に入社しました。配属されたのは「総務人事本部」。会社では「私はこれがしたい!」と願っていても、思いどおりの部署に配属されるとは限りませんが、北川さんは、任された総務や人事の仕事にはげみ、上司から高い評価を得るまでになりました。
 
■ 総務・人事って、どんな仕事?
総務とは、組織全体に関する事務を扱う仕事です。例えば、来客応対・事務用品の管理・社員旅行の開催・会社案内の作成など、その仕事内容は幅広く、組織の中核を担っています。そして、人事の仕事は、社員やアルバイトの採用・人員配置・教育研修・福利厚生の手続き・給与額の決定などです。いずれも、高い事務処理能力と人と接するコミュニケーション能力が求められる仕事です。
■ 話を聞いた人

北川友紀(きたがわ・ゆうき)
1982年、兵庫県加古川市生まれ。
体を動かすのが大好き。「休日にはジムで汗を流します」。
現場を知らない私が、こんなに重要な仕事をしていいの?

●入社したきっかけはなんですか?
 中学生のころ、母が祖母を介護している様子を見て、介護の現場に興味を持ち福祉系の大学に進みました。医療や福祉に関わる会社で働こうと就職活動するなかで、病院や介護施設に寝具を貸し出す事業をしている今の会社を受けました。医療や福祉の現場に近い場所で働きたかったのですが、配属されたのは総務人事本部だったので、正直とまどいました。
 総務の仕事は、社員の名刺の発注や備品の補充など。また、人事の仕事は入社後すぐにスタッフ採用の補助業務につくことになり、「現場を知らない私が、こんな重要な仕事をしてもいいの? できるの?」と、思っていました。

●仕事には慣れましたか。
 入社2年目からは採用スタッフの一員となり、面接や説明会を行っています。当社は直接介護や医療業務を行う会社ではないので、学生からみると役割がわかりにくい部分があると思います。福祉や医療のなかで大切な役割を担っている会社だ、ということを伝えるために、事業内容についてできるだけ具体的に話すようにしています。
 総務としては、名刺や備品はすぐに用意できて当たり前と思われがちですが、実際には発注してから届くまでに時間がかかることもあります。簡単に思われる業務も、たくさん重なればすぐにできない場合があり、大変さに気づいてもらいにくい点にはストレスを感じますね。また、来客を案内するのも私の仕事ですが、大切な取引先の重役にお名前をお尋ねしたら、ムッとされたことがあります。さまざまな年代や価値観の人に応対する難しさを実感しました。

夢を持ちつつ、今の仕事に全力投球

●入社3年目の今、気持ちに変化はありますか?
 計画立てて仕事をできるようになると、こまごました作業も自分のやり方を工夫し、効率よくできるようになってきました。新入社員の採用期、社員の異動時期には残業が続くこともありますが、重要な仕事を任され、それに追われるのが楽しいと思うくらいです。
 また、視野が広くなりました。古くからお付き合いのあるお客様の中には、昔の当社の様子を話してくださる方もいて、とても勉強になります。こういう体験は、総務人事本部に勤めているからできること。それに、私が採用にかかわった新入社員があちこちで活躍しているのもうれしいことです。現場に出てみたいという気持ちは相変わらずありますが、それは置いておいて、与えられた仕事をもっとがんばりたいと思います。
 総務や人事の仕事は目立たないけれども、会社の中になくてはならない部門です。縁の下の力持ちという感じで、みんなを支えてるんだと実感できるようになりました。

●将来の夢を教えてください。
 私は、入社したときの人事担当の女性が明るくテキパキしたすてきな人で、この人のいる会社なら、と思って入社を決めました。先輩にあこがれて入社したので、今度は“北川さんにあこがれて入社しました”と言ってもらえる人事担当者になりたいです。それから、ずっと先でもいいのですが、いつか現場で直接介護にかかわる仕事をしたいですね。

●中学時代にやっておきたいことについて、アドバイスお願いします。
 熱中できるものを見つけて、できれば長く続けてほしいですね。私自身、中学から大学までソフトボールを続けてきました。1つのことを長くがんばってきた人は、その自信が人となりを作っているように感じます。採用の場でも、そういう人には信頼度が上がりますよ。