例1 一つのものから想像をふくらませる
風神・雷神を見る(小5〜中1)
例えば,江戸時代初期の絵師・俵屋宗達の「風神雷神図屏風(ふうじんらいじんず びょうぶ)」(京都・建仁寺蔵),
あるいは1世紀後に尾形光琳が模写した「風神雷神図屏風」(東京国立博物館蔵)は,
いずれも二つ折りの屏風2面で一組(二曲一双にきょく・いっそうと呼びます)になった絵で,
下地には金箔が張られています。インドや中国に由来する神々の姿を、
それまでの絵巻などをヒントに描かれたといわれます。
小学校から中学校までの教科書で,どこかには採り上げられる人気作です。
(ここでは,版権の制約から写真画像は使わず,当コーナー担当者が作成したイメージ・スケッチのみを載せています。
原作の図版は,学校や地域の図書館にある日本美術の全集で,「宗達・光琳」「障壁画」などのタイトルで,大抵見つかります。)
*準備: 上図のように,教室前面にカラーコピーを張るか
プロジェクターで投影するなどでセッティングをする(左面は,なくてもよい)。
画面が小さい場合は,子どもを前方に集めるなど,工夫する。
1.「風神雷神図屏風」の片面を見て,残りの画面を想像する
図の片面(半双)だけ見せ,2面で全体が構成されていることを簡単に説明の後,発問。
T「もう一方には,どんなものが描かれているでしょう?」
子どもたちには,その判断材料を探す必要が生まれる。
C「これは,一体,何だろう?」
そのために,画面をよく見ることになる。これが大切。
ここで,多様な意見交換が展開されるように心掛ける。
2.想像した残りの片面を表現してみる
いくつかの方向性が見えてきたら,その片面を各自で想像し,
いくつかの簡単な方法で表現してみる
(黒板にチョークで描く,画用紙や半紙にパスや色鉛筆などでスケッチをする,身体表現する,など
年齢によって適宜工夫できる)。
3.「風神雷神図屏風」の全画面を鑑賞する
ここでは,想像したことの当たり・はずれに流れないようにしたい。
自分の想像したものと比べて,どうか。
このような,現実には存在しない対象をも画家(絵師)は
想像力を働かせ情報収集しながら表現している。
ちょうど,いま自分たちがしてきたように。
このように見てくると,展開できそうな作品は身近にもっといろいろありそうです。