現在、私たちの身のまわりを見渡すと、さまざまな材料が使われ、生活を豊かにしている。
一般的に製品の材料は、金属、非金属、さらに両者を混合させた複合材料に分類される。ここで、材料の特性や性質を知っておくことは、それらを有効に使用するために必要不可欠なことである。
 材料の選択基準としては、1)化学的特性、2)物理的特性 があり、材料の諸性質を調べるため、さまざまな試験が行われている。材料の性質のうち、硬さや強度などの機械的性質は重要であり、試験方法として、引張試験、硬さ試験、衝撃試験などがある。材料の強度を測定する方法として引張り試験がよく行われるが、この試験方法は日本工業規格(JIS Z 2241)によって定められている。材料を目的に合わせて使用するためには、材料の持つさまざまな物理的あるいは化学的性質・特徴を把握して、適切な材料を選択しなければならない。
 特に、引張試験は材料の引張強さや伸びなど、基本的性質である機械的性質を測定する方法である。図1に示すように、形状一定の試験片が日本工業規格(JIS)で規定されており、この試験片を引張試験機により等速で引張ることにより、破断にいたるまでの試験片引張力(応力)と伸び(歪)の関係について、図2に示すように再現性のあるデータを求めるものである。

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材料の変形

産業技術科学科  関根文太郎

図 2

 一般に、引張り荷重Pを増加させて金属試験片を引張っていくと、まず引張力の増加とほぼ比例して材料は伸びる(A→B:比例+弾性範囲)。 さらに、材料を引張ると材料は伸びるが、荷重は減少する(B→C:降伏)。その後、小さな荷重の増加で、材料は大きく塑性変形して、最大荷重Dに達する。Dを過ぎると材料の一部がくびれ始め、見かけ上の荷重は減少し、材料は大きく伸び、最終的に破断)にいたる。
 ここでは、金属材料として、とくに身近に使用される真鍮が破断する様子を、高速度カメラによって観察している。さらに、アルミニウムの破断の様子と比較する。

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図 1