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■ 仕事のポイント 幅広い知識と経験を積んで独立 | ![]() |
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現在の塗装は単に色を塗るだけの仕事ではなくなってきています。 抗菌、脱臭、防水などの新しい視点の塗装により、高い技術が必要となってきています。塗装業につくには、専門学校などで技術を学んでから塗装会社に就職、または塗装会社に勤務しながら技術を身につけるのが一般的です。 比較的小規模な会社が多いことから、熟練すると独立する人がたくさんいます。 山口恵太さんのお父さんは塗装業の親方、子どもは跡継ぎとして期待されがちです。当初は「塗装にまったく興味がなかった」山口さん。今では「塗装以外の仕事はしたくない」と、家業を継ぐことも決意。 すでに現場を任され、責任ある仕事に取り組んでいます。 |
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■ 塗装業って、どんな仕事? 塗装業は、住宅から高層ビルまで、さまざまな建築物の外壁や内壁、屋根や床にペンキを塗り、吹き付けて模様を付けるなど、建物の最後の仕上げの部分を担う専門技術職です。また、美しくするだけでなく、日光や雨、湿気などから建築物を守る役目もします。 塗装の仕事をするには、親方のもとで修業するほか、会社に就職する方法もあります。 |
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■ 話を聞いた人![]() 山口恵太(やまぐち・けいた) 1985年、京都府京都市生まれ。 趣味は中学時代から続けているサッカー。「思いっきり走れるところが気に入っています」。 |
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●塗装の仕事に興味がなかった、それでも6年続いていますね。
父の仕事は、目の前にありすぎて興味がわきませんでした。それに長男だから跡を継ぐと決められるのもいやでしたから。
最初は手伝いのつもりでしたが、仕事の段取りがわかってくるとおもしろくなって。塗料の知識や技術など次々に学ぶことがあるし、新しいことを覚えるのはうれしいです。それに、仕事の結果が見えますので、やる気を起こさせます。5年目から現場を任され、今は一人で最後まで仕上げています。責任重大な分、やりがいも大きいし、親方である父に認められたのがうれしかったです。
●親方であるお父さんに仕事を習ったのですか。
基本は父や先輩から。あとは見よう見まねで自分の方法を見つけました。父につきっきりで細かい手の動かし方を習ったとき、僕がどんなに遅くても「速くやれ」とはいわれませんでした。初めに粗い仕事を覚えてしまうと、丁寧な仕事ができなくなるからです。親方はコワモテですが、仕事は繊細でとても速い。仕事を始めてから、親方のようになりたいと思うようになりました。
●塗装の仕事のどんなところがおもしろいですか。
幅広い知識と経験がいるところかな。何でも塗ればよいというわけでなく、建物の素材をよく調べて、適切な塗料や色を決めます。塗るときも素地の表面がどんな状態かを調べてから刷毛やローラーブラシ、スプレーガンなどを使い分け、きれいにしていきます。化粧するみたいでおもしろいですよ。
最近はアレルギー対策塗料など、使い分けが多様だし、現場も新築や改装、住宅・店舗・マンションなど、場所が変わるのであきないですね。
●逆に、つらいことは何ですか。
真夏、鉄板のように熱い屋根で作業することくらいです。これは本当につらい。まるで足の裏をじわじわ焼かれているようで…どんなに底の分厚い靴を履いていても、じっとしていられません。でも、昔みたいに、見習いの3年間は掃除だけなんてこともないし。義理や人情に熱い人が多い業界ですから、人間関係には恵まれています。いま、仕事がおもしろくなってきたので、つらさも感じません。
●では、仕事で大切なことは何?
丁寧に塗装し、きれいに仕上げること。出来上がりの善し悪しが誰にでもわかるものですから、ムラやカタができないよう技術力と知恵を使います。ただ、いくら仕事が美しくても、周りが汚れていればダメ。後片付けや掃除もすごく大事です。チリひとつないようにかたづけてから仕事は終ります。
●仕事を始めてから、何か自分に変化はありますか。
そうですね。人との接し方や言葉遣いに気をつけるようになりました。と言うのも、結果がはっきりと目に見える仕事だから、「きれいになった」と喜んでいただくことも多いので、お客さんと会話をする機会が増えました。あいさつや言葉遣いが丁寧になり、自分でも、ちょっと成長できたかなと思っています。
●将来の夢を教えてください。
多くの職人は独立して、親方になることを目指します。僕は幸い親の跡が継げるので、父の築いた信用を守りながら、ますます繁栄させたいです。周りに聞くと、うちの親方は「跡継ぎができた」と喜んでくれているみたい。他の業者さんとかかわりながら仕事を進めますので、協調性や判断力、それに管理能力などを身につけていきたいです。
●中学生のみんなにアドバイスをお願いします。
最初はしぶしぶ手伝った親の仕事も、やってみるとおもしろくなって「やる気」がでてきました。好きなことを仕事にという考え方もあるけど、なんでも頭から拒否せずに、まずはやってみることも大切だと思います。
塗装の仕事は、まずは体力勝負です。もちろん、やる気がなければ続きませんが、どんな仕事に就いても「仕事が好き」という情熱が必要です。