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■ 仕事のポイント 日進月歩の技術を追求し導入する | ![]() |
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およそ8,000万台――。これは日本を走る自動車の台数。 車は、私たちの生活に欠かせないものとなりました。だからこそ、車を安全に走行させることが極めて重要になります。車の安全は、人の命の安全だからです。 自動車整備士の仕事は、自動車の健康を守り、予防し、けがや病気を治す、いわば車のお医者さん。そして、人の安全を守る仕事。 小学生のころから自動車整備士に憧れていたという中村誠統さんに、仕事内容や、仕事のおもしろさについて聞いてみました。 |
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■ 自動車整備士って、どんな仕事? 自動車整備士は、車を安全に運行するために、整備、点検、部品交換や修理などを行うエンジニアです。エンジンやハンドル、ギア、タイヤなどを点検したり、故障や問題のあるところを修理して、車の性能や機能を回復させる仕事です。最近では技術が進み、自動車の構造や装置が複雑化しており、コンピューター応用の高度な技術が必要となっています。専門性の高い技術であるため、国家資格となっています。 |
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■ 話を聞いた人![]() 中村誠統(なかむら・まさのり) 1982年、京都府京都市生まれ。 趣味は、愛車のマーチに乗って、あちこちドライブすること。「根っからの自動車好きなんです」。 |
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●自動車整備士になったきっかけを教えてください。
小さいころからミニカーで遊ぶのが大好きでした。小学校高学年になると、テレビで見たF1グランプリに夢中になり、ピットのクルーに憧れるようになりました。ラジオの分解など、機械いじりも好きでしたから。素早くタイヤを付け替え整備する様子や燃料補給など、いかに手際よく短時間で作業をすませるかがレースの順位に大きく影響します。自動車整備士がレースを一緒に戦っている姿は、ドライバー以上にかっこよく見えたんです。
●今の仕事は幼いころからの夢をかなえたんですね。
いえ、もともとの夢はF1グランプリのスタッフです。でも、英語が苦手で、国際レースのF1スタッフは難しいことに気づいてあきらめました。中学3年生のとき、担任の先生から、自動車整備士という仕事について教えてもらい、興味を持ちました。ちょうどそのころ、授業のグループ研究で自動車メーカーを見学しました。整備士の方がさまざまな車の特徴をとてもわかりやすく説明してくれて、楽しそうに仕事をしている様子を見て、僕も自動車整備士になる決心をしたんです。
●最初はどんな仕事をするのですか。
整備士の数が多い店舗に配置されたので、最初の1年間は洗車ばかりでした。すべて手洗いなので、冬場はつらかったですね。他の整備工場に就職した仲間は、1年目から整備を任されていて、うらやましかったです。意欲は満々でも整備はさせてもらえず、初めは「せっかく入った会社で整備をしないうちに簡単に辞めたくない」という気持ちでやっていました。でも、お客さんの大切な車に直接触れ、きれいに洗車するうちに、「これは整備の基本となる大切な仕事なんだ」とわかってきました。1年目は先輩に付いて学び、2年目から一人で整備するようになりました。
●自動車整備士の仕事で大切なことは何ですか。
意外ですが、技術の次にはお客さんとのコミュニケーションが重要です。「大切な車をしっかり直したい」という思いが自然に表現できれば、気持ちは通じます。技術的には、目や耳で不具合を確かめ、先輩の経験や知恵を借りながら、自分で考えて行います。徐々に作業が速くなり、応用方法もわかってきますが、命を預かる仕事なので、技術力の鍛錬は欠かせません。最近は自動車の構造、装置が複雑化しきて、ハイテク化された装置など高度な技術が必要とされます。それにハイブリッドカーを始め環境重視の社会に適応する知識も求められます。日々学習し、成長していけるのが魅力ですね。
●では、仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか。
僕らがお客さんに「ありがとうございました」と言うのは当たり前ですが、逆に「ありがとう。これで安心」と言葉に出して感謝してもらえることがあります。そのひと言がうれしくて、またがんばることができるんです。ときには「直っていない」と叱られることもありますが、だからこそ、最初の聞き取りが大切なのだとつくづく思います。自動車整備士としてお客さんが気付かない箇所を見つけ、万全な状態にして車をお渡しする。これが整備士に課せられた使命だと思っています。
●中学生のみんなにアドバイスをお願いします。
自動車整備士になりたい人は、「車が好きだ」という気持ちを大切にしてください。そこからステップアップが始まると思うんです。自動車専門雑誌を置いている図書館も多いので、読んで車体に関する知識を得るのもいいでしょうね。だんだん、内部構造など、詳しいことが知りたくなってくると思いますよ。