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■ 仕事のポイント 創造力・技術力、自立心・独立心も必要 | ![]() |
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コンピューターゲームが登場しておよそ30年、コンピューターの発展とともに、ゲームも大きく進化しました。かつてのコンピューターゲームは、平面的で使う色数も限られ、動きも限られていました。ところが最近では、実物映像にも劣らない画像でゲームがつくれます。 ゲームクリエーターには、つねに新しい技術を吸収すること、そして確かなデッサン力とパソコンを使って描く技術力が求められます。 大学のときは「ゲームをつくろうなんて考えもしなかった」という倉橋さん。 ある出来事から、「会社を頼らずに、好きなことを仕事にしよう」と考え、絵を描くことへの猛勉強が始まりました。 今、彼はゲームクリエーター。 「ゲームなんかやったことがない」と話す人に会うのが楽しいといいます。かつての彼がそうであったように、ゲームに関心のない人との話の中にこそ、次のゲーム開発のヒントがあるのかもしれません。 |
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■ ゲームクリエーターって、どんな仕事? コンピューターゲームの画面に登場する背景やキャラクターを、コンピューターグラフィックのソフトを使ってデザインします。通常、グラフィックを動かすプログラマーとの共同作業になるため、プログラミングに対する基礎的な知識も必要です。迫りくる納期、依頼主の要求、限りあるデータ容量など、制作のための制限や条件がたくさんあるなか、いかに質の高いゲームを作成できるかが仕事のポイントです。 |
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■ 話を聞いた人![]() 倉橋 豊(くらはし・ゆたか) 1978年、愛知県稲沢市生まれ。 趣味は、「スノーボードとサイクリングです」。 |
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●もともとゲームが好きだったのですか?
実はそうでもないんです。大学は経営学部、ゲームを作ろうなんて考えもしませんでした。卒業後は有名な企業に就職し、営業の仕事をしていました。それがある日、会社が不祥事を起こして経営が悪化、「会社に寄りかからず、自分の手で何かを作り出す仕事がしたい」と強く思うようになりました。
もともと絵を描くことが好きだったから、デザインの勉強をしようと決め、昼間は仕事を続けながら、夜は専門学校でコンピューターグラフィックを学びました。学生時代よりも一生懸命勉強しましたね。学校を修了し、会社を辞めて、アルバイトをしながら経験を生かせる仕事を探しました。そして出会ったのが、設立したばかりのゲームソフト制作会社だったんです。
●仕事の内容を教えてください。
いつもは午前中のミーティングで、ディレクターをはじめプログラマー、グラフィックデザイナーなどが、次につくるゲームの企画に対してアイデアや意見を出し合います。ひとつのゲームソフトにかかわる人間は、社内で10人ちょっと。午後からは、それぞれのデスクに分かれて専門の作業に移ります。
グラフィックデザインの仕事はすべてパソコン上での作業です。背景から登場するキャラクターまで、ゲーム画面のすべてを担当します。モニターの中の3D空間に、粘土をこねくりまわすように、仮想の立体物を作り上げます。頭の中でデザインを練っている時間も長いですね。
●つらいと思うのはどんなとき?
出来上がったキャラクターに「何か違う、でも何をどうすればいいのかわからない」と思うときかな。細部をいろいろ変えても、どこがダメか、どうすればいいかイメージが浮かんでこない。頭がモヤモヤします。そんな時は、寝るか、散歩するか、サイクリングで気分転換すると、いい意味で割り切りができるようになります。徹夜はしない、休む時には休むのがいいですね。
●仕事が完成したときは、どんな気持ちですか?
一昨年発売された携帯ゲーム機用のソフトが、キャラクター作りからかかわったはじめての作品でした。以前からシリーズとして人気があるソフトのデザインを担当できたことに喜びを感じました。
いつかは自分の名前が出るゲームを作りたいと思っていましたので、クレジットタイトル画面に自分の名前が出た瞬間、震えるくらい感動しましたね。
私は営業職を辞めてゲーム業界に入ったわけで、この仕事につくまでは苦労しましたし、家族にも迷惑をかけました。その仕事が実を結び、自分の実績となったことで報われた気がします。
発売されたころは、利用者の反応が気になって、ゲームの感想を載せているブログを読んでは一喜一憂していました。ゲームの売り上げがボーナスにも響くのでこちらも気になります。
●この仕事について良かったと思うことは?
家庭用コンピューターゲームの歴史は非常に浅く、小学生のころに流行していた初代家庭用テレビゲーム機の発売が1983年。たかだか25年で驚くほど進化しています。社長も36歳と若いですが、ゲーム業界を引っ張ってきただけあって、新しいものを見つけたいというパワーがすごい。そういう人のそばで仕事ができるのは、とても刺激的で楽しいです。
●将来の夢を教えてください。
「倉橋に任せておけば大丈夫」と言ってもらえるデザイナーになること。依頼主の求めているものを敏感に察知して、「これでしょう?」「まさしくこれだ!」という会話をしてみたいですね。そうなるために、頭の中にあるデザインの引き出しをもっともっと増やしていこうと思います。
●中学生のみんなに、アドバイスをお願いします。
もしゲーム制作の仕事につきたいのなら、映画鑑賞、読書、スポーツなど、いろんなことをして視野を広げたほうがいいですね。面白いゲームは、ゲーム以外の体験から生まれてくると思うからです。