ダメと思っても打ち込む、努力をすれば必ず成果が生まれる

■ 仕事のポイント 会社の売り上げを支える重要なセクション
世の中には、約27,000もの職種があるといわれています。
その中で「営業」という職種は、最もよく知られている職種かもしれません。
しかし、具体的に営業がどのような活動をしているのか、それぞれの会社ごとに違うので、まとめてはいえないところがあります。それだけ営業という職種の内容が幅広いということだといえます。
 
ここで、紹介する山尾さんは、印刷会社の営業です。
就職活動をするなかで現在の会社に出合い、面接のときの「一緒にがんばろう」の一言に気持ちを動かされたといいます。毎日笑顔でお客様を訪問する山尾さんの活躍から、営業という仕事をのぞいてみましょう。
 
■ 営業って、どんな仕事?
会社がつくる物品やサービス、情報などは、販売されて初めて利益が生み出されます。営業は会社が生産したり、受注したりする物品やサービスをお客さんにすすめて、注文をいただくことが仕事です。また、知らない会社を突然訪問する場合や電話で自社の物品の案内をしたりする営業活動もあります。
仕事は注文をもらうだけではありません。商品の内容確認や納期に間に合わせるように気を配るなど、お客様に無事商品を納めるまでのすべての工程にかかわります。営業は、お客様と会社をつなぐ窓口なのです。
■ 話を聞いた人

山尾忠嗣(やまお・ただし)
1982年、京都府京都市生まれ。
「毎日仕事で200キロ以上、車を走らせています」
「会社を一緒に育てよう」の熱意に感動して

●営業の仕事についたきっかけを教えてください。
 大学時代の就職活動です。そのとき参加した会社の説明会で、今の印刷会社と出合いました。もともと、印刷に関係するデザインの勉強をしていたこともあって親近感もありましたが、「まだ若い会社だけど一緒に育てよう」という面接担当の方の熱意に共感したのがきっかけですね。

●仕事の喜びを感じるのはどんなときですか?
 注文をもらい、仕上がった商品を無事に納品し、喜んでいただいたときです。うれしいというより、無事納品できたときのホッとする部分も大きいですね。仕事としては、印刷業なので印刷部数や金額が大きいほど、喜びが増します。いつか大きな仕事が取れるようにがんばっています。

●では反対に、つらいと思ったことは何ですか?
 仕事を始めたころ、なかなか注文がもらえなかったことです。知らない会社を回って注文を集める「飛び込み」という方法で、100軒回ってもなかなかもらえず、会議でつらい思いもしました。でも、先輩やチームのみんなにささえられて、その思いやりにこたえようと、自分でも一生懸命努力したことで、乗り越えることができました。初めてもらった注文は、とびっきりうれしかったですね。

仕事を通じて、粘り強く、コミュニーションがうまくなった

●働くことで、何か気づいたことはありますか?
 まず、会社の中での営業という仕事の大切さです。営業はお客さんから注文をとること、つまりお金を集めることです。だから営業が仕事をしなければ会社はつぶれます。そのことから、自分ががんばらないと自分はもちろん、他の人の給料も出なくなることがわかりました。営業担当者の一人ひとりが、まじめにがんばることがとても大切だと気づきました。

●仕事を始めてから、自分が変わったと思う点は?
 大学時代は、あきらめが早い性格だったのですが、粘り強くなったと思います。仕事上、努力しても無駄であると思われても、打ち込まなければならない場合があります。そのときは受注できなくても、真剣に打ち込む姿勢をお客さんは見ているからです。それが信頼につながり、必ずチャンスがやってきます。
 あと、印刷物はみんなの共同作業でできあがるので、お客さんや社内の人たちとも話し合いながら仕事を進めないといけません。人と話すこと、コミュニケーションをとることもうまくなりました。

●将来の夢や希望を教えてください。
 自分の手で、大きな仕事を成功させたいですね。印刷部数がとても多く、金額も数千万円、数億円以上になるような仕事です。たとえば、大企業が注文してくれる電気製品のカタログなどは、責任も重大だし、仕事が大きい分、さまざまな努力が必要だと思います。でも、いつかそういう仕事を、会社とお客様から信頼されて、任され、成功させてみたいと思っています。

●中学生のみんなに、アドバイスをお願いします。
 新聞を読むことを勧めます。新聞にはたくさんの知識が載っています。その知識があれば、ある程度むずかしい話もできるし、いろんな年齢の人とも話せるようになります。今、仕事をしている中で実感していることですが、知識のないうわべだけの話だけでは、仕事も人間関係も広がりません。新聞には毎日の情報が詰まっています。全部読まなくても見出しを流し読みするだけでも、知識は蓄えられると思います。がんばりましょう。