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■ 仕事のポイント 法律の力を活かして人の役に立つ | ![]() |
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弁護士は、社会で起こる色々な問題の解決に取り組み、法律に基づいて、依頼者に代わって交渉する法律の専門家です。国家資格である弁護士は、資格を取るとバッジをつけることができます。バッジには、ひまわりの花と天びんが描かれています。 ひまわりは正義を、天びんは公平を表します。これは、正義と公平が弁護士の仕事であるというしるしです。 新保さんは、弁護士事務所に就職して4年目。実際の仕事は、法廷で弁護する時間よりも、パソコンに向かって資料を作るほうが長いとか。地域の人々の事件解決のために活躍する新保さんのお話から、弁護士の仕事について探ってみました。 |
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■ 弁護士って、どんな仕事? トラブルを抱えた人から依頼を受け、法的な手続きに基づき、その人の代理として法廷で主張や議論をしたり、さまざまな法律関係の事務作業によって、解決の手助けを行います。人々が安心して生活・活動を続けられるよう、基本的な人権を守る法律の専門家です。 弁護士は国家資格です。弁護士になるには、法務省が行う司法試験に合格すること、または、法科大学院課程を修了し、法務省の新司法試験に合格する、2つの方法があります。 |
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■ 話を聞いた人![]() 新保英毅(しんぼ・ひでたか) 1979年、京都府京都市生まれ。 弁護士は、裁判所で裁判をして、対決するイメージが強いですが、実際にはパソコンに向かってたくさん資料を作る、「意外と地味な仕事です」。 |
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●いつごろから弁護士になりたいと思い始めたのですか。
中学や高校のころ、弁護士が登場するアメリカ映画やテレビドラマを観て、法廷で活躍する姿に憧れていました。ただ、早くから弁護士になると決めたわけではなく、大学法学部に入り、司法試験を受けるなかで選択しました。
●なぜ、弁護士を選ばれたのですか?
弁護士は裁判官や検察官のように国に雇われる国家公務員と違い、国の機関の干渉を受けない自由業です。自分で決めた場所に事務所を開いて仕事ができます。そこに魅力を感じました。人を裁くより弁護する、人を助ける方に力を入れたいとも思いました。
●司法試験はとても難しいのではないですか?
現在は法科大学院へ進み、司法試験を受ける道が開かれていますが、それ以前は、3〜5回挑戦して受かる人が多かったと思います。でも、司法試験に合格してもすぐ弁護士にはなれません。現場で一定期間(今は1年間)研修を受け、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の仕事の基礎を学びます。そして、卒業試験を受け、合格すると晴れて弁護士になる資格が得られるのです。
●弁護士事務所は、どんなところですか。
弁護士が100人もいる大きなところもあれば、1人で独立開業するところもあります。事務所によっては、依頼者のほとんどが個人だったり、会社が多かったり、それぞれに特徴があるので自分に合ったところを選びます。私は、地域に密着した事務所を希望し、依頼者が主に中小企業や個人である事務所に入所しました。
●重い罪を犯し、本当に悪いことをした人を弁護するケースもありますよね。
警察に逮捕された人は容疑者であって、犯人かどうかわかりません。もしも無罪なら、絶対に罰することがあってはなりません。罪を犯した場合でも、その人にどのぐらい責任があるのか、正しく裁いてもらうことが大切です。犯罪の疑いを受けている人は、法律の知識がなく、言い分を伝えにくいケースも多いのです。裁判で争う場合、弁護士という代弁者を得て、きちんと言い分を伝えることが望ましいと思います。
●印象に残った事件について教えてください。
身近なケースですが、さまざまな理由で借金を返せないとき、「もう自殺しかない」と考えるほど追い込まれることがあります。しかし、法律的にみると、問題解決は、実は本人が思っているほど難しくありません。こうした依頼者から「怖い借金取りからの取立もなくなり、おかげで、一家心中せずにすみました」との言葉をいただいたことがあり、とても心に残りました。
●弁護士になってみて、意外なことはありましたか?
ドラマに登場する弁護士は、きりっと法廷に立っているのですが、実際の業務は書類作りの割合が圧倒的に多く、たくさんの資料に目を通し、裁判所への提出書類や、依頼者への報告書などを作るのです。
ドラマと違って同時にいくつもの事件を担当しており、私も現在30件以上を持っています。工事代金をもらえず困っている建設会社の社長さんから、ご近所さんと仲が悪くなってしまった年金暮らしのおばあさんまで、依頼者の環境や業界も多種多様で、社会についての知識が少ない新人時代は大変でしたね。
●この仕事をするうえで大切なことは?
法律の知識以上に大切なのが、依頼者の話をよく聞くことです。依頼者が何を望んでいるのか、依頼者自身の話の中に問題解決の糸口があることが多いのです。また、多くの事件を担当して経験を積むことです。一度、依頼を引き受けると、弁護士である自分が進めない限り、解決へは向かいません。依頼者の人生を背負っており重い責任がある分、一生懸命になる。だから勉強になり、やりがいも大きいのです。
●中学生のみんなにアドバイスをお願いします。
司法試験など、資格試験に向けた勉強と、中学時代の勉強は同じではありません。今は、テストの点数をとることよりも、クラブ活動を楽しんだり、先輩や後輩、友だちと仲良くなったり、本を読んで興味の方向性を広げたりすることが大事。きっと、将来の弁護士の仕事に役立つと思いますよ。