三菱電機先端技術総合研究所 映像入出力技術部グループマネージャー 小島邦子さん (京都新聞)
「画質を極めたい」。長岡京市の先端技術総合研究所(先端総研)で、世界初の「レーザーテレビ」の開発に携わった。
 レーザーテレビの特長は色の再現性。光源に光の3原色(赤、緑、青)を使うことで、表現できる色の範囲を同社の液晶テレビの2倍にした。
 開発は約5年前に始まった。試作機の映像は「わくわくするような絵」。商品化に向けて盛り上がり、レーザーや信号処理など同社の技術を結集させることになった。
 レーザー光源をスクリーンに映し出すまでの構造開発を担った。プロジェクターなどの開発で培ってきた知識を生かし、レーザーから出た光を画面に均一に照明する課題などを解決した。08年に北米で3次元立体(3D)対応として発売すると米誌、レーザーやメディア学会などの表彰を受けた。今年8月には日本でも発売した。
 開発当時は「必死だった」。上司の杉浦博明・映像技術部門統轄も「彼女の執着心がなかったら製品化していなかった。とことん開発に取り組む姿がメンバーに影響を与え、チームの総合力が発揮された」と評する。
 出産と育児で休職したこともある。休職前には復帰後に研究職を続けられるか心配したが、「『気負わなくても大丈夫』と後押ししてくれる人が多かった」と感謝する。
 先端総研がある京都製作所の後輩、篠原順子専任は「責任ある仕事をしながら家事はきちんとする。育児にも熱心でパワフル。大変なことを笑顔でやってしまう姿に勇気づけられる」。
 現在は光学、テレビなどの内部構造を研究するグループを束ねる。事業部門との調整にも気を配りながら「開発した製品が店頭で注目されるのはうれしい。今後も注目される製品を開発したい」と意気込む。
こじま・くにこ 京都教育大数学科を卒業後、現在の先端技術総合研究所映像技術部門に配属。2010年4月から、同部門映像入出力技術部オプトメカニズムグループのグループマネージャーを務める。1男1女。大津市出身・在住。49歳。
【2010年12月5日掲載】