名古屋大学前期(理3)

多項式の列 fn(x), n = 0, 1, 2, .... が
  f0(x)= 2, f1(x)= x,
  fn(x) = xfn-1(x) - fn-2(x),  n = 2, 3, 4, ....
をみたすとする。

(1) fn(2cosθ) = 2cos nθ,  n = 0, 1, 2, .... であることを示せ。
(2) n ≥ 2 のとき、方程式 fn(x) = 0 の |x| ≤ 2 における最大の 実数解を xn とおく。このとき fn(x) を xn から 2 まで定積分した値を求めよ。(その値を Sn とおく)
(3) n ∞ のときの n2Sn の極限値 を求めよ。
(1) n についての数学的帰納法で示す。
  f0(2cosθ) = 2 = 2cos (0×θ), f1(2cosθ) = 2cosθ = 2cos (1×θ), より n = 0, 1 のときは成立している。
m を 2 以上の整数として n = m-1, m-2 のとき fn(2cosθ) = 2cos nθが成立していたと仮定する。
このとき n = m のときも fn(2cosθ) = 2cos nθ が成立していることを示す。
2cos mθ + fm-2(2cosθ) = 2cos mθ + 2cos (m-2)θ 4cosθ cos (m-1)θ = 2cos θfm-1(2cosθ) である。従って
  fm(2cosθ) = 2cos θfm-1(2cosθ) - fm-2(2cosθ) = 2cos mθ
つまり n = m のときも fn(2cosθ) = 2cos nθ が成り立つことが 示された。
以上より、(1) が示せた。

|x| ≤ 2 をみたす x については 0 ≤ θ ≤ π なる θ を利用して x = 2cosθ とあらわすことができる。
この表現では方程式 fn(x) = 0 は 2cos nθ = 0 となる。
これを解くと nθ = &pi/2 + mπ (m = 0, 1, 2, ... , n-1)
x が最大なものをえらんで xn = 2 cos (π/(2n)) となる。
x = 2cosθ とおいて置換積分して Sn は 4 sin θ cos nθ を θ について 0 から π/(2n) まで積分して得られる。
  (cos θ cos nθ)' = - sin θ cos nθ - n cos θ sin nθ
  (sin θ sin nθ)' = cos θ sin nθ + n sin θ cos nθ
なので
  (cos θ cos nθ + n sin θ sin nθ)' = (n2-1) sin θ cos nθ
これを利用して n ≥ 2 のとき Sn を計算すると
  Sn = 4(n sin(π/(2n))-1)/(n2-1)

(3) n ∞ のとき (2n/π)in(π/(2n)) の極限値は 1 なので
n ∞ のときの n2Sn の極限値は 2π - 4 である。
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