ピロリ菌: 「コメ糖化液」が退治 長野で開発

 長野県農村工業研究所(同県須坂市)などが開発し、コメを高温高圧、酵素処理して作る「コメ糖化液」に、胃かいようなどの原因とされるピロリ菌の殺菌作用があることが、信州大医学部(同県松本市)の川上由行教授(臨床微生物学)らの研究で分かった。4〜6日に京都市内で行う「日本臨床微生物学会総会」で発表する予定。同研究所は「糖化液の商品化を進め、コメの消費拡大を目指したい」と意欲を燃やしている。
 川上教授によると、研究は精白米、玄米、発芽玄米の3種類の糖化液と普通の炊飯米に、ピロリ菌の菌液を混ぜて殺菌効果を調査。30分後、3種の糖化液では生菌数が100分の1〜100万分の1に激減。炊飯米はまったく効果が見られなかった。
 また、肺炎球菌や食中毒の原因となるカンピロバクター菌に対しても同程度の殺菌効果があると確認されたという。川上教授らは今後、マウスを使った生体実験などで、有効成分など殺菌のメカニズム解明を進める。
 糖化液は、現代人のコメ離れを懸念した同研究所と長野市の飲料メーカーが共同開発し、02年2月に製造方法の特許を出願している。【反橋希美】
 ■ことば=ピロリ菌
 正式名称はヘリコバクター・ピロリ。長さ5マイクロメートル(100万分の5メートル)前後で、数本のべん毛を持つ。胃炎、十二指腸かいようの原因とされ、先進国の中でも日本人の保菌率は高いと言われる。
毎日新聞 2005年2月2日 3時00分