行列 A, B を A = , B = とする。
次の (*) が成り立つための実数 α β についての必要十分条件 をもとめよ。
(*) どんな2次正方行列 Y に対しても2次正方行列 X で
    AX - XB = Y となるものがある。

解答

(*) を成分で表現すると次の (**) と同値である。

(**) x,y,z,w を未知数とする連立一次方程式
  (2-&alpha)x = p
  (2-β)y = q
  x + (1-α)z = r
  y + (1-β)w = s
がすべての数の組 (p,q,r,s) に対して解をもつ。

いま (*) が成り立ったとする。つまり (**) が成り立ったとする。このとき
(p,q,r,s) = (1,0,0,0) のときも (**)の方程式が解をもつので α ≠ 2
(p,q,r,s) = (0,0,1,0) のときも (**)の方程式が解をもつので α ≠ 1 
    (なぜなら α = 1 と仮定する。このとき解(x,y,z,w) があると (2-α)x = p = 0 より x = 0, x + (1-α)z = r より 0 = r = 1 となり矛盾)
(p,q,r,s) = (0,1,0,0) のときも (**)の方程式が解をもつので β ≠ 2
(p,q,r,s) = (0,0,0,1) のときも (**)の方程式が解をもつので β ≠ 1 
以上より α ≠ 2 かつ α ≠ 1 がつ β ≠ 2 かつ β ≠ 1 となる。

逆に α ≠ 2 かつ α ≠ 1 がつ β ≠ 2 かつ β ≠ 1 とすると

任意の数の組 (p,q,r,s) に対して (**) における連立一次方程式は
 x = p/(2-α)、y = q/(2-β), z = (r - p/(2-α))/(1-α), w = (s - q/(2-β))/(1-β)
と解ける。つまり (**) が成立し、従って (*) も成立する。

以上より
(*) が成立するための α β についての必要十分条件は
α ≠ 2 かつ α ≠ 1 がつ β ≠ 2 かつ β ≠ 1 である。

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