N を自然数とする N+1 個の箱があり 1 から N+1 までの番号が付いている。どの箱 にも玉が1個入っている。1から N までの箱に入っている玉は白玉で番号 N+1 の箱に入っている玉は赤玉である。次の操作 (*) を各々の k = 1, 2, ..., N にたいしして k が小さい ほうから順番に1回ずつ行う。

(*) k 以外の番号の N 個の箱から1個箱をその選び、その箱の中身と番号の k 箱の中身を交換する (ただし、個の箱から1個の箱を選ぶ事象は、どれも同様に確からしいとする)

操作がすべて終了したのちに、赤玉が番号 N+1 の箱に入っている確率を求めよ。

解答

主張1  1 ≤ n ≤ N なるすべての自然数にたいして
k = 1, 2, ..., n と操作 (*) を行ったあとには番号 n+1 から番号 N までの箱には 白玉が入っている。

この主張は次のように数学的帰納法で示される。
n = 1 のとき k = 1 の操作(*)では 直前には1番目の箱から N 番目の箱には白玉しか入っていないので
どの箱を選んでも 操作の結果 2 番目から N 番目までの箱には白玉しか入っていない。
2 ≤ n ≤ N として k = 1, 2, ..., n-1 まで操作(*)行った結果 n 番目から N 番目の箱には白玉しか入っていないと仮定しよう。このとき
k = n のとき操作(*) を行えばどの箱を選んでも 操作の結果番号 n+1 から番号 N までの箱には やはり白玉が入っていることになる。
以上で主張1は示された。

1 ≤ n ≤ N+1 なるすべての自然数にたいして
k = 1, 2, ..., n と操作(*) を行った結果番号 N+1 の箱に赤玉が入っている確率を pn と表すことにする。このとき次が成り立つ。

主張2
次が成り立つ
(1) p1 = (N-1)/N
(2) 2 ≤ n ≤ N のとき pn = pn-1×(N-1)/N
(3) pN+1 = (1 - pN)/N

主張2の証明 (1) k = 1 のとき操作(*) の結果 N+1 番目の箱に赤玉が残るためには 選ぶ箱は N+1 番目以外の N-1 個から選ばなくていけない。
そう選ぶ確率は (N-1)/N である。
(2) 2 ≤ n ≤ N のとき k = 1, 2, .... , n-1 まで操作(*) を行った結果 主張1により n 番目の箱には白玉が入っているので
k = n での操作(*) を行った結果 N+1 番目の箱に赤玉が残るためには、
直前まで N+1 番目の箱に赤玉が残っていて、この操作で選ぶ箱は N+1 番目以外の N-1 個から選ばなくてはいけない。
よって pn = pn-1×(N-1)/N である。
k = 1, 2, ... , N と操作(*) を行ったあと最後に k = N+1 と操作(*) を行う。その結果 N+1 番目の箱に赤玉がのこるためには最後の操作の前には N+1 番目の箱には赤玉が入っていなくて、最後の操作で選ぶのは N 個の箱のうち 赤玉の入っている1個を選ばなくてはいけない。従って
pN+1 = (1 - pN)×(1/N) である。

主張2の(1),(2) より pN) = ((N-1)/N)N であり
更に、主張2の(3) より pN+1 = (1-((N-1)/N)N )/N である。
求める答えは (1-((N-1)/N)N )/N である。

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