留意2より
(a, b, c) は原始的ピタゴラス数として
a は奇数、 b は偶数のとき示せば十分である。
このとき
a = m2 - n2, b = 2mn, c = m2 + n2
 を満たす整数の組 m, n が存在する。

c = m2 + n2 が奇数なので
m, n のうち一つは偶数で一つは奇数である。
よって b = 2mn は 4 の倍数である。

もし b が 3 の倍数でないと仮定すると
m は 3 の倍数でなく (m-1)m(m+1) が 3 の倍数なので
m2 - 1 = (m-1)(m+1) は 3 の倍数である。
n は 3 の倍数でなく (n-1)n(n+1) が 3 の倍数なので
n2 - 1 = (n-1)(n+1) は 3 の倍数である。
よって a = m2 - n2 = (m2-1)-(n2-1) は 3 の倍数である。
いづれにせよ ab は 3 の倍数である。

もし b が 5 の倍数でないと仮定すると
m は 5 の倍数でなく (m-2)(m-1)m(m+1)(m+2) が 5 の倍数なので
m4-5m2+4 = (m-2)(m-1)(m+1)(m+2) は 5 の倍数である。
故に m4-1 = m4-5m2+4 + 5(m2-1) は 5 の倍数である。
n は 5 の倍数でなく (n-2)(n-1)n(n+1)(n+2) が 5 の倍数なので
n4-5n2+4 = (n-2)(n-1)(n+1)(n+2) は 5 の倍数である。
故に n4-1 = n4-5n2+4 + 5(n2-1) は 5 の倍数である。
よって ac = m4-n4 = (m4-1)-(n4-1) は 5 の倍数となる。
いづれにせよ abc は 5 の倍数である。

abc は 3,4,5 の倍数なので abc は 60 の倍数である。


フェルマーの小定理を使えは証明はもっと楽である。(*1)

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(*1) フェルマーの小定理
p を素数とし、a を p で割り切れない整数とすると
ap-1 を p で割った余りは 1 である。

m,n がともに 3 で割り切れない整数とするとき m2 と n2 は 3 で割った余りは 1 である。
よって m2 - n2 は 3 で割り切れる。
m,n がともに 5 で割り切れない整数とするとき m4 と n4 は 5 で割った余りは 1 である。
よって m4 - n4 は 5 で割り切れる。

p を素数とし, m,n がともに p で割り切れない整数とするとき mp-1 - np-1 は p で割り切れる。