相加相乗平均の定理(拡大)

次は相加相乗平均の定理と呼ばれる。

a, b を正の実数とするとき
 a2 + b2 ≥ 2ab
が成り立つ。
 等号は a = b のときのみ成立する。

証明は極めて簡単で
  a2 + b2 - 2ab = (a-b)2 ≥ 0
なる式変形より出てくる。

上とよく似た不等式が
成り立つか否かを考えよう。

問題1 a, b を正の実数とし
m, n を n ≥ 2, n > m > 0 なる自然数とする。このとき
次の不等式はいつも成立するか?
(1) a3 + b3 ≥ ab(a+b)
(2) a4 + b4 ≥ ab(a2 + b2)
(3) an + bn ≥ ab(an-2 + bn-2)
(4) an + bn ≥ an-mbm + ambn-m

                (解答は下段にて)

次に続く









(4) が示されれば (1),(2),(3) すべてが示されることになるが、あえて (1), (2), (3),(4) と示していくことにする。

(1) a3 + b3 - ab(a+b) = (a-b)(a2 - b2) = (a-b)2(a+b)   これより明らか。(最後の因数分解は実は不要)
(2) a4 + b4 - ab(a2 + b2) = (a-b)(a3 - b3) = (a-b)2(a2+ab+b2)   これより明らか。(最後の因数分解は実は不要)
(3) an + bn - ab(an-2 + bn-2) = (a-b)(an-1 - bn-1)   これより明らか。
(4) an + bn - (an-mbm + ambn-m) = (an-m-bn-m)(am-bm)   これより明らか。
(1),(2),(3),(4) いづれも成立して, 等号は a = b のときのみ成立する。