相加相乗平均の定理(拡大)

次も相加相乗平均の定理と呼ばれる。

a, b, c を正の実数とするとき
 a3 + b3 + c3 ≥ 3abc
が成り立つ。
 等号は a = b = c のときのみ成立する。

証明は次のようにおこなわれるのが普通である

a3 + b3 + c3 - 3abc
 = (a+b+c)(a2 + b2 + c2 - ab - bc - ca)
2(a2 + b2 + c2 - ab - bc - ca)
 = (a-b)2 + (b-c)2 + (c-a)2
この二つより定理が示される。

この定理の拡張として、
次が考えられる。

問題2 a, b, c を正の実数とし
k, n を n ≥ 3, n > 3k > 0 なる自然数とする。このとき
次の不等式はいつも成立するか?
(1) a4 + b4 + c4 ≥ abc(a+b+c)
(2) a5 + b5 + c5 ≥ abc(a2 + b2+ c2)
(3) an + bn + cn ≥ abc(an-3 + bn-3 + cn-3)
(4) an + bn + cn ≥ akbkck (an-3k + bn-3k + cn-3k)
                (解答は下段にて)

次に続く
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(4) が示されれば (1),(2),(3) すべてが示されることになるが、 あえて 定理、(1), (2), (3),(4) と示していくことにする。

定理の証明(問題1を使う)
a3 + b3 ≥ a2b + ab2
b3 + c3 ≥ b2c + bc2
c3 + a3 ≥ c2a + ca2 であり
a2b + bc2 ≥ 2abc
b2c + ca2 ≥ 2abc
c2a + ab2 ≥ 2abc より
定理の不等式を得る。各々の等号成立条件より 等号が成立するのは a = b = c の 時のみである。

(1) の証明
a4 + b4 ≥ 2a2b2
b4 + c4 ≥ 2b2c2
c4 + a4 ≥ 2c2a2 であり
a2b2 + b2c2 ≥ 2ab2c
b2c2 + c2a2 ≥ 2abc2
c2a2 + a2b2 ≥ 2a2bc より
(1)の不等式を得る。各々の等号成立条件より 等号が成立するのは a = b = c の 時のみである。

(2) の証明
a5 + b5 ≥ a3b2 + a2b3
b5 + c5 ≥ b3c2 + b2c3
c5 + a5 ≥ c3a2 + c2a3 であり
a3b2 + c2a3 ≥ 2a3bc
b3c2 + a2b3 ≥ 2ab3c
c3a2 + b2c3 ≥ 2abc3 より
(2)の不等式を得る。各々の等号成立条件より 等号が成立するのは a = b = c の 時のみである。

(3), (4) を示そうと思ったが、簡単なので、読者にまかせよう。