すべての実数で定義され何回でも微分できる関数 f(x) が
   f(0) = 0, f'(0) = 1 を満たし
   さらに、任意の実数 a, b に対し 1 + f(a)f(b) ≠ 0 であって
    f(a+b) = (f(a)+f(b))/(1 + f(a)f(b))
   を満たしている
(1) 任意の実数 a に対して -1 < f(a) < 1 であることを証明せよ。
(2) y = f(x) のグラフは x > 0 で上に凸であることを示せ。
もしも f(c) = 1 となる実数 c があれば
1 = f(c/2+c/2) = 2f(c/2)/(1+f(c/2)2) となり
(f(c/2)-1)2 = 0 となり f(c/2) = 1 を得る。
これを繰り返して、全ての自然数 n に対して
f(c/2n) = 1
を得る。 よって n → ∞ のとき f(c/2n) → 1
一方 f(x) は連続関数で
n → ∞ のとき c/2n → 0 なので
n → ∞ のとき f(c/2n) → f(0) = 0
これは矛盾。つまり f(x) = 1 を満たす実数は存在しない
f(x) がどこかで 1 より大きい値をとると
f(0) = 0 で f(x) は連続なので、中間値の定理より
f(x) はどこかで 1 を取ることになり矛盾。
よって、任意の実数 a に対して f(a) < 1 である。
もしも f(c) = -1 となる実数 c があれば
-1 = f(c/2+c/2) = 2f(c/2)/(1+f(c/2)2) となり
(f(c/2)+1)2 = 0 となり f(c/2) = -1 を得る。
これを繰り返して、全ての自然数 n に対して
f(c/2n) = -1
を得る。前と同じ議論より矛盾を得る。
f(x) がどこかで -1 より小さい値をとると
f(0) = 0 で f(x) は連続なので、中間値の定理より
f(x) はどこかで -1 を取ることになり矛盾。
よって、任意の実数 a に対して -1 < f(a) である。
ゆえに任意の実数 a に対して -1 < f(a) < 1 である。
もしも f(c) ≤ 0 となる正の実数 c があれば
2f(c/2) = f(c/2+c/2)(1+f(c/2)2) ≤ 0 となり
0 ≤ (1+f(c/2)2) なので f(c/2) ≤ 0 を得る。
これを繰り返して、全ての自然数 n に対して
f(c/2n) ≤ 0
これは n → ∞ のとき
(f(c/2n)-f(0))/(c/2n)-0) → f'(0) = 1
であることに矛盾する。
よって x > 0 のときは 0 < f(x) である。
実数 x に対して
f(-x) + f(x) = f(-x+x)(1+f(-x)f(x)) = 0(1+f(-x)f(x)) = 0
なので f(-x) = -f(x) である。
任意の定数 a に対して
f(a+x)(1+f(a)f(x)) = f(a)+f(x)
両辺を微分して
f'(a+x)(1+f(a)f(x)) + f(a+x)f(a)f'(x) = f'(x)
x に -a を代入、f'(0) = 1 で f(0) = 0 なので
1 + f(a)f(-a) = f'(-a)
これが、全ての実数 a で成り立つので
1 - f(x)f(x) = 1 + f(-x)f(x) = f'(x)
両辺を微分して
-2f(x)f'(x) = f''(x)
-1 < f(x) < 1 なのでいつでも f'(x) = 1 - f(x)2 > 0
とくに x > 0 のときは 0 < f(x) なので
f''(x) = -2f(x)f'(x) < 0
ゆえに x > 0 の範囲では
y = f(x) のグラフは上に凸である。
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