証明

(1) 0 以上の整数 n に対して gn(x) = ex - (1 + x/1! + x2/2! + ...... + xn/n!) と定めることにする。
0 以上の整数 n に対して x > 0 のとき gn(x) > 0 が成り立つことを示せばよい。
 n = 0 のときは x > 0 のとき g0(x) = ex - 1 > 0 である。 (e > 1 より)
k を 1 以上の整数として x > 0 のとき gk-1(x) > 0 が成り立つと仮定して
x > 0 のとき gk(x) > 0 が成り立つことを示す。
gk(0) であり x > 0 のとき g'k(x) = gk-1(x) > 0 なので
x > 0 のとき gk(x) > 0 である。
よって、数学的帰納法により、すべての 0 以上の整数 n に対して x > 0 のとき gn(x) > 0 である。
とくに n が自然数であるとき、不等式
  1 + x/1! + x2/2! + ...... + xn/n! < ex   (x > 0)    ......(*1)
が成り立っている。

0 以上の整数 n に対して  Jn = ∫01 tn(1-t)nsin πt dt  と定める。
このとき In = (πn+1/n!)Jn である。
0 < x < 1 のとき 0 < tn(1-t)nsin πt < 1 なので 0 < Jn < 1 である。 .... (*2)
u > 0 のとき、不等式 (*1) を x = uπ に適用し両辺に π を掛け算して、不等式
  π + u×(π2/1!) + u2×(π3/2!) + ...... + un×(πn+1/n!) < πe
を得る。
  (*2) より Ik = (πk+1/k!)Jk < πk+1/k!   (k = 0, 1, 2, ..., n)
なので、 不等式
  I0 + uI1 + u2I2 + ..... + unIn < πe   (u > 0)   .... (*3)
が成立することがわかる。

  

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