研究の目的
楽器には、演奏者や聞き手の特性や美的価値観に応じた多様な音楽表現の実現のために、さまざまな現実的諸問題を克服しつつ、楽器製作者のさまざまなものつくりの技(わざ)が込められています。本研究は、今昔の音楽を支えてきたそうした楽器づくりのわざ学に焦点を当てた民族音楽学的楽器研究、いわば「ものつくりの視点からみた音楽研究」であり、その動きと変容の現状把握を通して、まさに消滅しつつあるさまざまなわざを記録し、今後の教育・研究に生かすことを目的としています。
研究成果は、順次、学会や論文で発表してゆくだけでなく、調査や研究によって得られた資料や情報そのものをできるだけこのサイト上に公開し、研究・教育関係者の利用に供したいと思います。
研究の対象と視点
具体的な楽器の対象として、日本を含むユーラシア各地の代表的伝統楽器はもちろん、これまであまり研究対象とされてこなかった、いわゆる「B級楽器」、「代用楽器」、「電子楽器」、「外来楽器」なども対象に含めています。そして、モノとしての楽器の数や動きから今日の音楽の状況や大衆の嗜好性の実体を、複数地域で並行して調査し、楽器の時間的・空間的な伝播や移動のグローバルな把握を目指します。
研究課題のキーワード
楽器 ものつくり グローバリゼーション 音楽学